日本・中国でのビジネスモデルを考える

日中間を行き来するビジネスコンサルタントのビジネスモデルやアイデアフラッシュ

日本の技術を欲しがる中国

■生産拠点の海外移転とその歴史
技術大国日本と言われる日本の『技術』を支えてきた大きな要素の一つに大企業の無理難題に応えてきた下請け中小企業の力があります。
私自身を例に挙げると、10年前までは無理難題を押し付ける側に、その後10年は無理難題を押し付けられる側にいました。

幸い、私に限って言えば前者の場合も"下請け"とは言わずに"協力会社"と言い一緒に解決しなさいと教育された良いメーカーにいたことと、後者の場合も同じように一緒になって問題を解決してくれる良い会社と巡り会えた結果、『技術とは?』で書いたようにその開発仮定が楽しいと感じるようになったのではないかと思います。

一般的に日本のメーカ企業は80年代後半(バブル期)にコストダウンを求め台湾や韓国へ製造拠点を移し、90年代半ば以降は中国やベトナムなどへその拠点を移してきました。

私自身も日本のバブル期に当時メーカーの開発者として台湾の"協力工場"と仕事をしてました。日本のバブル期ですが当時の台湾はここ数年の中国のように全体的に日本の技術を"学ぼう"という強い姿勢があり、台湾人の非常に優秀な工場長と「良い商品を開発」するために日夜様々な"無理難題"を一緒に解決してきました。そして91年にはその台湾の工場長らと共に中国南方視察を行い中国の東莞市の小さな工場で試作からスタートすることに決めました。

■『技術』を知っている中国人
造拠点を海外に移すということは、その企業が保有する技術やノウハウの一部または全部を移行するということです。
『技術』向上に必要な"無理難題"は、簡単に書けば、
大企業→(国内中小企業)→海外企業
といい流れで押し付けられていきます。台湾の半導体や液晶メーカ、韓国のサムスン・LGなどの今や世界の一流企業も日本企業の"無理難題"があったからこそ世界に通用するようになったワケです。

そして、私とともに無理難題を解決してきた当時の台湾の工場長は今、900人の工場のトップとなって日本企業が求める品質に応えてます。(当時見つけた東莞市の小さな工場です)

彼ら(昔、台湾や韓国で日本の技術を学んだ人たち)は、大変良く知ってます。
何を知っているのかというと、日本の『技術』が世界で通用し、それを中国に移行することで世界を相手にビジネスができるということです。台湾や韓国で構築したのと同じ手法で中国で世界の企業の要望に応え更に研究開発を重ねて技術力を高めていってます。
"彼ら"は、『技術』とは?を知っているため、日本にとっては非常に手強い相手になるでしょう。

■『技術』を知らない中国人
ほんの5年ほど前までは多くの中国企業は「先にカネをくれ、先に仕事をくれ」という態度だったのが、今は「カネを払うから技術をくれ」というふうに数年前と今とは明らかに中国企業は変わってきてます。
前述の彼らが先に富裕層となったことで今の中国企業はそんなことは百も承知の上で更に新しい日本の技術を欲しがり買いに来るのです。

そのような中国企業経営者は前述の"彼ら"とは異なり、欧米での留学組、いわゆる"海亀派"です。主に米国などでMBAを取得し米国型の経営・マーケティングを学んだ頭脳優秀な方たちです。前回書いた日本のなんちゃってIT企業などと同様に欧米から多額の資本投入がなされ『技術』を知らない分その潤沢な資本により『技術』を買いに来ます。

しかし、それら中国企業は日本企業が恐れるような相手ではありません。『技術とは?』で書いた通り技術は一朝一夕で構築できるようなものではありません、カネで買った技術はそれ以上の進化を望むことはできないと考えるからです。

■将来的な日本の方向性
技術の現場を知っている"彼ら"と金融資本主義に飲み込まれた現場を知らない"海亀派"。中国の現状と日本の現状は似ているのかもしれません。確かに技術の研究開発には資本も必要ですが『技術』を本当に使えるモノにするのは現場の力です。

そういう意味で日本のメーカ企業は、労働人口不足、個人主義、金融資本主義という今後の経済・社会キーワードを含めて考えると中国などアジア諸外国とは協力していかざるを得ません。今まで蓄積した大切なコア技術の保持に専念し海外企業と双方協力のもと技術力を高めていくことを考えていくことが、今後も「技術大国日本」を維持していけるベターな戦略でないかと思います。
その選択をする場合には、権利だけを主張して『技術』を活かすことのできない"海亀派"ではなく地道な努力の結果の成果を理解している"彼ら"と協業していかなければなりません。


各日ではありますが3回連続で『技術』をテーマにして私の考えを書いてきましたが、日本の中小企業にはまだまだ世界で通用する、世界が欲しがる多くの素晴らしい技術があります。「後継者不足」「製造コストの問題」「時代遅れ」「目先のお金」などを理由に技術を知る日本の経営者が安易に"海亀派"に売ってしまわずに同じように技術を知る"彼ら"と『日本の技術』を武器に世界が注目する中国市場に活路を見いだして欲しいと思います。

PS.
以前からお伝えしている「LinkChina」の登記も終わり、現在はサイト制作中です。LinkChinaでは、それら日本の技術を「技術を知る」"彼ら"中国企業と戦略的な提携により技術の継承と向上を目指し、結果的に世界に対し「技術大国日本」を認識させる役割の一端を担えればと考えております。

テーマ:中国 - ジャンル:海外情報

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